「あなたは勇気をくれた」

やがてネット上にもこうした批判に同調するコメントがあふれるようになった。初の黒人出演者である私も、リアリティー番組の定番のえげつない悪ふざけに加わるべきだ、髪を引っ張り合ったり、罵り合ったりすべきだ──視聴者はそう望んでいた。

でも私はそんなことのために出演を決めたわけではない。

結局のところ次のシーズンには私の出演契約は更新されなかった。でもシリーズ史上、1シーズンで最も強烈なインパクトを与えた出演者だったことは確かだ。

番組出演を終えて1年ほどした頃、飛行機に乗った。顔が割れないよう気を付けていたが、客室乗務員の1人、金髪の白人男性が私に気付いて「エボニー!」と呼び、顔をゆがめて泣きそうになった。「あなたは私の人生を変えた」と言われてびっくりした。

後でくれた手書きのメモを見て、ようやく事情がのみ込めた。番組で逆風にさらされながら自分のアイデンティティーとコミュニティーの絆を堂々と主張する私の姿を見て、彼は両親にゲイであることを告白する勇気を持てたのだ。

そのメモには心揺さぶられた。やってよかった! けなされようが何だろうが自分のしたことに悔いはない。

(エボニー・K・ウィリアムズの新著『ベット・オン・ブラック』からの抜粋)


 『ベット・オン・ブラック』

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【動画】「説教くさい」と言われると話すエボニー・K・ウィリアムズ