心の平穏を見つけた日

ロブはリンクの中央でぎこちなくひざまずき、灰色の小さな箱をポケットから取り出した。「結婚してくれますか?」と彼は震えながら言った。頰は寒さで真っ赤になっていた。「はい」と私は答えた。まるで映画のワンシーンだった。周囲の人々はみんな、滑るのをやめて喝采を送ってくれた。

スケートリンクでプロポーズなんて、ロブと出会う前なら絶対に嫌だと思っただろう。でも彼は私という人間の成り立ちを理解していた。私自身はスケートが自分の一部であることを受け入れられずにいたが、この瞬間にようやくこだわりが解けた。

北京五輪に出場した選手たちもこれから長い年月をかけ、競技経験と引退後の自分との関係に折り合いをつけていくのだろう。願わくば誇りと共に振り返れますように。あのドーピング騒ぎの中で演技をしたクリーンな選手たちの素晴らしさをたたえてあげたい。

また、騒ぎで嫌な思いをした選手たちがいつか、私が手にしたような心の平穏を見つけられますように。あの雪の夜、ロックフェラーセンターのリンクで私は、自分を愛しほかの誰かを愛し、そして愛されていると実感できれば、それまでの自分を愛することもできるのだと学んだ。

【写真】五輪後のワリエワの様子
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