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AMY SHERALD FOR THE NATIONAL PORTRAIT GALLERY

――ミシェルの肖像画はあまり似ていないとも言われている。

20世紀の初めにパブロ・ピカソが(作家の)ガートルード・スタインの肖像画を描いた。人々は似ていないと言ったが、ピカソはこう返した。「大丈夫、すぐに似てくるから」

同じ言葉を贈りたい。写真のように似ていることを求める人もいるが、そもそもエイミーはそのようには描いていない。しぐさやポーズを見て、作品全体にクールさを感じたら、それがミシェル・オバマだ。

――黒人肖像画というジャンルの中で、これらの作品はどのような位置付けになるか。

黒人と肖像画の関係は(ほかの人々のそれとは)少し違う。昔は黒人の偉大な将軍や著名人はいなかったから、彼らの肖像画は、20世紀の終わりから21世紀の初めにかけて生まれたごく新しいジャンルだ。

2人の肖像画は、大統領とファーストレディーとしてナショナル・ポートレート・ギャラリーに飾られることにより、歴史的な役割を果たす。

一方で、2つの作品には黒人のスタイルが詰まっている。バラク・オバマとミシェル・オバマは初めて表舞台に出てきたときから、そして今も、まさにスタイルの手本だ。

黒人の体を示唆に富み、リアリズムを超えて、誇りやクールさや苦悩といった精神性に踏み込んで芸術的な主張として表現する。そうしたスタイルから受ける刺激を、これらの作品は1つの連続体として表現している。

――大統領の肖像画というジャンルの中での位置付けは。

ナショナル・ポートレート・ギャラリーにある肖像画とは全く違う。60年代にはジャクリーン・ケネディとジョン・F・ケネディを大胆に表現したアーティストもいたが、短い流行だった。全般的に肖像画の伝統は極めて保守的で、大部分は公認の肖像画家が手掛けてきた。今回の作品は素晴らしい形で突出している。

――スタイルについてもう少し聞かせてほしい。

黒人のスタイルとは何かと言えば、力の表現だ。自分自身を変える力であり、社会で自分の居場所を宣言する力であり、否定的な流れをかき分けて自分の道を進みたいと訴える力だ。

具体的なスタイルは、例えば西アフリカ流なら、身長180センチ以上もある濃い褐色の魅力的な人々が美しい布を頭に巻き、服を翻して躍動している。60年代のシカゴで育った私にとって黒人のスタイルとは、光沢のあるスーツを着て髪を手入れした男たちだ。

時代によってもありとあらゆるイメージが呼び起こされるが、今回の2枚の肖像画は、黒人のスタイルの歴史における大きな通過点を象徴している。

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