辻の判断で特に重要だったのは、中塚亘(元ボストン・コンサルティグ)や大塚泰之(元デロイトトーマスコンサルティング)、齋藤陽史(元ナムコUSA)など、グローバルな視点と経験を持つ人物を経営幹部に迎えたことだ。

「優秀なだけではなく、一緒に働いているイメージが湧く人」を選んだという。

その一方で、社長を退いた後も会長の座にとどまっていた祖父とは、言い合いになることもあった。それでも企業理念である「みんななかよく」を実践して、コミュニケーションに努めた。

「毎日15分でも直接話をした。それを1年続けるうちに祖父も私の考えを理解して、『任せる』と思ってくれたようだ」

そうして辻は、デジタル分野にも事業を拡大。「経営者として非常に大きな功績だ」と、日本のカワイイ文化に詳しい中央大学のジョシュア・ポール・デール教授は語る。

こうした改革はハローキティも目を見張るほどの業績をもたらした。辻が社長に就任した21年3月期のサンリオの売上高は410億円、営業利益は30億円超の赤字だったが、25年3月期の売上高は約1449億円、営業利益は518億円、営業利益率は35.8%に達した。

株価も、辻が社長に就任した20年7月1日は500円台だったのが、直近では6700円超と12倍以上に膨らんだ。これはある意味、リベンジともいえる。創業者の祖父は有能な経営者でありながら、1990年代に投資戦略を誤って莫大な損失を出した。

日本企業はマーケティングが下手
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