国民に食料を安く供給するのが農水大臣の責務だ

JA農協のリーダーの人たちは、軽々に「農は国の本なり」と言う。しかし、これを言うことで予算を増やしたいと思っているだけで、この言葉の真の意味を分かっていない。

新大臣の先輩に、戦前農林大臣を2回も務めた石黒忠篤がいる。農本主義者と言われた石黒は、1940年農林大臣として1万5000人の農民との対話集会で食料増産を懇請する。

「農は国の本なりということは、決して農業の利益のみを主張する思想ではない。所謂農本主義と世間からいわれて居る吾々の理想は、そういう利己的の考えではない。国の本なるが故に農業を貴しとするのである。国の本たらざる農業は一顧の価値もないのである。私は世間から農本主義者と呼ばれて居るが故に、この機会において諸君に、真に国の本たる農民になって戴きたい、こういうことを強請するのである」

石黒が言う国の本たる農業とは国民に食料を安く安定的に供給するという責務を果たす農業だった。国民に高い米価を押し付けて、「下げないよ」という農業や農政ではなかった。新大臣には、真の農本主義に目覚めてもらいたい。

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※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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