「仕事中毒」という例外
ただし、効果があまり得られなかったグループもあった。それはワーカホリック、つまり仕事中毒の人々だ。
研究者らは、過剰な労働傾向と強迫的な労働傾向の両方を測定する心理学的調査を用いて、仕事中毒者の特定を行なった(「予定より長く働く頻度」や「仕事をやめたいと思っても、続けてしまうと感じる頻度」といった項目を被験者が評価)。
その結果、仕事中毒の傾向が強い人ほど、夜に個人的な目標を振り返ろうとしても限定的な効果しか得られないことが判明した。トゥ准教授は次のように説明する。「仕事中毒の人々は、仕事上の目標に強く執着しているため、精神的に仕事と距離感を置くことが難しいのです。その結果、個人的な目標を持つという介入の効果が限定されてしまうだけでなく、むしろ仕事中毒からの回復支援を重点的に行うべき対象とされてしまうのです」
先行研究では、仕事中毒や慢性的な過労は単なるライフスタイルの問題ではなく、脳や身体への害が大きいことが示されている。
精神医学や職場の健康に詳しい専門家も本誌の取材に対し、長時間労働は睡眠障害や実行機能の低下、さらには脳構造の変化にまでつながると指摘している。
週52時間以上働く人では、処理速度の低下、記憶障害や感情調節の困難などが観察されている。
次のページ