本当に生物の痕跡か?

2021年に「ジェゼロ・クレーター」へ着陸したパーサビアランスは、かつて生命の兆候が存在したとされる場所で岩石に穴をあけ、サンプルを採取・保存するためのドリルとチューブを装備している。

同探査車には生物そのものを直接検出する機能はないが、岩石や土壌のコア試料(内部から棒状にくり抜いて採取した試料)を収集し、将来的に地球へ持ち帰るための準備を行っている。

しかし、その回収ミッションは、コスト削減と迅速化の方法をNASAが再検討しているため、現在停滞している。

この発見は研究チーム内外から注目を集めている。SETI研究所のジャニス・ビショップと米マサチューセッツ大学アマースト校のマリオ・パレンテは、本研究には関与していないが、この結果を「興奮すべき発見」とした。しかし、それが生物学ではなく地質学的、化学的なプロセスによって説明できる可能性があると慎重な姿勢を示した。

研究責任者である米ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のジョエル・ヒューロウィッツもAP通信に対し、「生命の決定的な証拠だと断言することはできない」と同様の見解を示した。

「我々が言えるのは、微生物生命という説明が可能性の一つであるということにすぎない。観察された特徴を別の要因で説明できるとも考えられる」

それでもヒューロウィッツは、今回の発見を探査車によるこれまでで最も説得力のある成果だと述べた。パーサビアランスは今回採取されたものも含め、30のサンプルを採取している他、残り6つのサンプル採取も予定しているという。

「もしこれらの特徴が、数十億年前に他の惑星で生きていた何かによって形成されたと決定的に証明できたら、それは驚くべきことだろう」とヒューロウィッツは語る。

「たとえそうでなかったとしても、自然がいかにして我々を惑わせるのか、重要な教訓を与えてくれるはずだ」

NASAの予算削減が調査の足枷に
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