人工知能(AI)のビジネス利用が広がる中、日本企業の間で人材採用を抑制する兆候が現れ始めている。全国求人情報協会(全求協)によると、求人広告の掲載件数が4月から直近の7月まで4カ月連続で減少した。職種別では「事務」の減少幅が大きく、AIを使った業務の自動化進展が主な原因とみられる。米国ではすでに人員削減の動きが広がっており、国連は世界的な雇用の不安定化や格差拡大に懸念を示している。

大手人材サービス会社が加盟する全求協の調べによると、7月の求人広告の掲載件数(職種別)は225万件で、3月の275万件から減少した。前年同月と比べても7月は0.4%増と、33.4%増を記録した3月から伸びは大幅に鈍化している。建設作業員や保育士などの求人件数が増えた一方、事務は前年同月比で約16%のマイナスだった。AIの導入拡大に伴って各社が事務職の新規採用を減らしたほか、派遣社員など非正規への転換を図ったとみられる。

パーソルキャリアが毎月公表する「転職求人レポート」でも、日本企業の採用活動に変調の兆しが出ている。転職サービス「doda(デューダ)」内の総求人件数は2020年から長期間にわたって右肩上がりを続けてきたが、昨年の夏頃にピークアウトし、足元では横ばい傾向に転じた。

SMBC日興証券の野田一貴エコノミストらはレポートで「IT技術者の広告掲載件数が相対的に落ち込んでいる。新型コロナウイルス禍で高まったデジタル人材に対する需要の一巡や、AIの普及が進展したことで専門人材への需要が鈍化した可能性がある」と指摘する。

すでにリストラに着手した企業もあり、パナソニックホールディングスは今年5月、総務や人事など間接部門を中心に1万人規模の人員削減をすると発表。朝日新聞によると、楠見雄規社長兼グループ最高経営責任者(CEO)は昨年の戦略説明会で「生成AIの出現で働き方を変えられることが分かった。適正人員のあり方についても、考えていかないといけない」と発言していた。

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