<死者数は2050年までに3900万人に。目前に迫る健康危機を前に研究チームが注目したのは「機内トイレ」だった>

薬剤耐性を獲得した菌「スーパーバグ(超多剤耐性菌)」は、2050年には、がんを上回る死因になると言われている。そして、世界的な健康危機を防ぐ監視ツールとして国際研究チームが注目したのは「航空機のトイレ」だった。

オーストラリアに到着した9カ国44便の国際線から採取したトイレ排水を分析した研究結果は、大きな懸念と共に希望も示した。

研究者たちは、高度な分子解析技術を用いて、医療機関で感染しやすく、複数の薬剤に耐性を持つ9種の優先的監視対象病原体を検出。そのうち5種類は全44便のサンプルから確認され、最後の手段とされる抗生物質への耐性をもたらす遺伝子も17便から見つかった。

この遺伝子は同時期のオーストラリア国内の都市排水には検出されておらず、国際的な渡航によって持ち込まれた可能性が高いと考えられている。

航空機の排水には多くの病原体が含まれるため、地域社会に菌が広がる前に、科学者が新たな健康リスクを把握するための「スナップショット」として活用できる。

「航空機の排水には、複数の大陸からの乗客が持ち込む微生物の痕跡が含まれており、薬剤耐性(AMR)などの脅威を非侵襲的かつ低コストで監視する手段になり得る」と、論文の筆頭著者でオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の主任研究員ウォリッシュ・アーメッド氏は語る。

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