中国政府がとっているのは短絡的な施策ばかり
中国が直面している危機は、日本より深刻だ。第1に中国の不動産バブルの規模ははるかに大きい。20年の中国のGDPに占める住宅投資の割合は1990年の日本の約1.5倍。世帯の総資産に占める不動産の割合は、90年の日本が約半分だったのに対し、20年の中国では7割近くを占める。
さらに中国の出生率は日本より低く、65歳以上の人口比率の増加は中国のほうがはるかに速い。加えて、中国は日本以上に強いデフレ圧力と失業圧力にさらされている。
けれども恐らく最も不吉な前兆は、中国政府が5%の潜在成長率を誇示し続けていることだ。政府はこれを達成すべく、手頃な価格の住宅の供給拡大や量的緩和の実施など、短期的に高い効果が期待できる施策を推進しており、経済の脆弱なファンダメンタルズにはほとんど目を向けていない。人間が歴史から唯一学べることは、人間は歴史から何も学ばないということである──ドイツの哲学者ヘーゲルの言葉は、まさに今の中国に当てはまりそうだ。
易富賢(イー・フーシェン)YI FUXIAN
米ウィスコンシン大学マディソン校の人口動態学者。中国の一人っ子政策を批判する著書『空っぽの巣の大国』を2007年に発刊するが、中国では13年まで発禁となった。
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