とはいえ、黒人女性がワイン業界で起業するのは容易ではなかった。黒人はワイン製造業者のたった0.1%にすぎず、黒人女性となるとさらに割合は小さくなる。
「昔から、ワイン業界で成功するために欠かせない資本や流通、ネットワークを思うように活用できなかった点は、大きな壁となった」と、ベストは振り返る。
「女性、特に肌の色の濃い女性のワイナリーのオーナーは少ない。認めてもらうためには人の2倍、働かなければならないことも多い」
次の課題は、古い体質のワイン業界の「常識」を変えることだ。「最高級で、現代の文化としても意義のあるブランドを築くには、昔からの障壁をいくつか壊さなければならない」ベストはそうした障壁こそがブランドの存在理由だとも考えている。「私が最初にアイベスト・ワインを始めた理由は、この業界では(マイノリティーの)経営者やオーナー、そして新しい意見が求められているということだった」。この先、ベストは革新的な製品の投入やアーティストとのコラボをさらに進めるほか、フランス市場への参入などを計画している。
ベストはアイベスト・ワインの立ち上げを通して、多様性の推進や、女性や黒人のエンパワーメントにも力を貸している。創業チームの6人は有色人種の女性で、出資を行うとともに経営を担っている。
「ワイン業界の常識も、ワインそのものも、同時に変えていくきっかけになりたい」

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