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「ベルギーほど多種多様なビールが造られている国はない」と語ったベルギービール協会CEOのクリシャン・マウドガル。

こうした背景によって生まれたビールはその土地に根付き、人々に社会的な繋がりをもたらした。「つまりベルギービールそのものがユネスコ無形文化遺産に登録されたのではなく、多様性によって育まれた文化が重要である」ことをマウドガルは強調した。

また今日のベルギーでは、ビールや醸造に関する博物館や学ぶ場所がたくさんあり、多くのフェスティバルやイベントも開催されている。「私が特に注目したいのは、毎年9月に開催されているベルギービールウィークエンド」と同イベントの内容を紹介した。

4タイプに分類し、多種多様な日本酒があることをアピール

基調講演の後には小西とマウドガルに、西田と酒サムライであり元ユネスコ日本政府代表部特命全権大使である門司健次郎が加わり、参加者とともに利き酒体験が行われた。これは香りの強弱と味わいの濃淡によって、香りが高く華やかな薫酒、軽快な味わいの爽酒、しっかりしたコクのある醇酒、香りも味わいも深い熟酒の4タイプにわけて試飲してもらい、日本酒の多様性を飲み方とともに知ってもらうのが狙いだ。

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日本酒の海外普及に尽力してきた元ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の門司健次郎。ベルギー赴任時にはあらゆるベルギービールを経験した。
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日本酒の4タイプ分類に準じて行われた利き酒体験。米の旨味がある純米酒だけでなく、さまざまな味わいがあることを知ってもらうのが狙いだ。
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この利き酒体験の中では、米の表層部分を削って残った米の割合をパーセンテージで示した精米歩合や、乳酸を添加せず一から乳酸菌を育てる昔ながらの製法である生酛造りの説明を行うとともに、タイプによって適した温度帯が異なることなど、日本酒の味わい方を参加者に伝えた。
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参加者全員に4種類の日本酒が提供され、薫酒、爽酒、醇酒、熟酒という4つのカテゴリーによる味わいの違いを体験した。

続いて行われたパネルディスカッションでは、『日本酒の造り』、『風俗慣習とつながり』、『多様な楽しみ方』という3つのテーマについて議論を展開。『日本酒の造り』では、門司が日本酒とベルギービールの共通点である自然発酵について、発酵の過程や環境が異なることを解説した。

『風俗慣習とつながり』では、日本酒は神事や祭事に使われることが多い点に触れ、西田は「米は日本人が毎日のように食べている神聖なもので、日本酒は他者とのコミュニケーションを介在してくれる。だから慣習や文化の一部になっている」と説明。

マウドガルは「ビールも祭りの中心にあり、日常生活の一部。ユネスコ無形文化遺産に登録されているバンシュのカーニバルではビールが中心的な役割を担っている」と共通点を指摘した。

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パネルディスカッションの最後には質疑応答の機会が設けられ、日本酒に関する具体的な質問が飛び交った。

最後の『多様な楽しみ方』では、小西が日本から持ってきた盃を披露。この小さな器で酒を飲むと、ほとんどの酒が舌の上にとどまり、舌の上で味わう楽しみ方があることを話した。

一方のベルギービールにも種類に応じた専用グラスがあり、「幅の広いグラスだと、ビールのアロマをより強く感じることができる」とマウドガルが補足した。

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盃などの酒器も紹介。容量が少ないのは、喉を通る前に舌の上で味わうためであると小西は説明した。

最後に、西田から日本酒の楽しみ方について質問された門司は「日本酒は世界中の多くの料理との相性がよい。特にフランス料理は、以前よりもバターやクリームの使用量が減り、野菜もフレッシュな状態で使うことが増えたので、日本酒とも合う。和食だけではなく、さまざまな料理と合わせてほしい」と締めくくった。

多種多様な日本産酒類の魅力を世界中に