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ジェリーは「諜報活動」の一環で銀行から送金したり、行員を監視したりした © 2023 Forces Unseen, LLC.

―― 詐欺は本当に身近な問題だと思う。ジェリーさんなら、どんなアドバイスをする?

とにかく詐欺師のやり方をいろいろと知っておくことが重要だ。アメリカでは詐欺の手口があまり話題にされないので、実際に被害に遭ったときにまったく気付かなかった。

こんな風に近づいてくるという体験談を聞いたり、自身の体験談があればどんどん周囲と情報共有してほしい。

注意深くなること、警戒心を持つこと。経験談を広く言い伝えることだと思う。彼らは相当な訓練を重ねていて、マインドコントロールすることにもたけている。だから常に周囲の人とコミュニケーションを取ることも大事。「誰にも言うな」と言われたら、それは要注意だと覚えておくことだ。

ロー監督:「すぐにこれをしてほしい」など、緊急事態を装われたら、それは詐欺だと思ったほうがいい。本当に緊急なことなんて、そうそうないのだから。

――この映画が完成したときにまず感じたことは?

映画そのものより、この経験を通して家族の大切さを再認識できた。大変な事態だったのにみんなが助けてくれて、この悲劇を乗り越えることができた。お金は全て失ったが、家族こそが大事だと改めて認識できた。

息子のジョン:お金は失ったけれど、このストーリーが私の映画製作者としてのキャリアの助けになったなら「父親としての務めを果たしたことになる」と父から言われた。そんな父を尊敬しているし、愛している。どんな父親も子供の幸せを願うものだろうが、自分がやりたいことを見つけ、キャリアを選択する機会を与えてもらった僕らは幸せだと思う。

――映画出演は初めてだったが、撮影で印象深いことは?

たまに「声が低いからもう一回」「英語の発音がいまいちだからもう一回」と言われることもあったが、全体としては順調に楽しく撮影できた。演技に関しては、自分の身に起きたことを再現するだけなので難しくなかった。

特に好きだったのはレストランのシーン。食べることが大好きで、「今日はレストランの場面の撮影です」と言われると「おお、食べられる!」と嬉しくなった。

――被写体としてのジェリーはどうだったか。

ロー監督:非常に自然に演じてくれたし、アジア系移民の父親像をニュアンスたっぷりに表現してくれたと思う。「どこまでが演技で、どこまでがリアルなのか?」と時々困惑するくらいリアルに再現してくれたので、こちらもドキュメンタリーを撮っているのか、フィクションを撮っているのか、その線引きが曖昧になることがあった。

結果的に、映画の中で「真実とは何か?リアルとは何か」というより大きな問いを立てることになった。観客も僕らと同じようにこの映画を体験するのではないか。

間接的な人殺しだ
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