<トヨタの「カイゼン」は有名だが、導入に失敗する企業は少なくない。航空運送を事業とするANAはなぜ成功できたのか。カギは、成果を社員に「還元」することだった>

*この記事は、トヨタが生み出した生産方式「カイゼン」を非製造業でも導入できるものに変え、大きな成果を上げたANAの秘密を解き明かす『ANAのカイゼン』(川原洋一著、かんき出版)から、一部を再編集したものです(全3回の第1回)。

※抜粋再編集の第2回:職場の「ムダ」は2つの「ム」から生まれる...業務の生産性を上げるには何が必要?

※抜粋再編集の第3回:なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分から15分にまで短縮できたのか

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カイゼンを定着させるために必要なもの

ANAグループオペレーション部門は、2016年にカイゼンを導入してから、多くの成果を得てきました。

ですが、実はANAの中にも「カイゼンは製造業のための生産方式である」というイメージが根強くありました。「非製造業がカイゼンを導入する」というハードルの高さは、実際に多くの非製造業の企業が感じているようです。

私たちがANA流カイゼンについてお話しすると、決まって、「なぜ、そんなにうまくいっているのですか?」と驚かれます。「うちもカイゼンを入れたけど、うまくいかなかった」という企業が非常に多いのです。

カイゼンの導入に失敗したという方に話を伺ってみると、陥りやすい共通の落とし穴があることがわかってきました。それは、

・5Sを入れただけで終わってしまう

・従業員が積極的にカイゼン活動に取り組んでくれない

・非製造業なので、カイゼンをどのように実行すればいいかわからない

といったものです。

さらに、カイゼンの導入はしたものの定着させることができなかったという企業は、2年程度で頓挫することが多いということも見えてきました。導入した初年度は社員がなんとかカイゼン活動をしてくれるものの、翌年になるとその勢いは失速してしまうようです。

カイゼンに無限の可能性を感じていた私たちは、カイゼンをせっかく入れるなら、「絶対に失敗したくない」「絶対に定着させたい」と考えました。

組織が最も守るべきものを明確にする

カイゼンのゴールは、「高い品質」と「高い生産性」を実現することです。

トヨタ生産方式のカイゼンは、製造ラインのムダを取り除き不良品の生産を極力減らすことによって、商品における高い品質と高い生産性を実現します。

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定型業務が少ないので、より適したカイゼンを模索した
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