征一郎さんはこの明るくてかわいい女の子に魅了された。彼女の話す日本語から、日本人ではないことが分かった。近くに朝鮮学校があることから、たぶん韓国人だろうと思った。
征一郎さんは彼女に愛情を伝える準備を始めた。
赤羽図書館に行って韓国語の教科書を調べて、「ナヌンタンシヌル サランハムニダ」(「私はあなたを愛しています」の意味)という言葉を覚えた。
「ナヌンタンシヌル サランハムニダ」は届かず...
しかし、彼がこの言葉を覚えて告白しようとしているうちに、彼女が日本を離れて帰国してしまったそうだ。彼女が帰ったのはソウルではなく、平壌でもなく、中国の南京だった。彼女は南京の娘だったのだ。
征一郎さんは彼女への恋心を表現するために、韓国語で「ナヌンタンシヌル サランハムニダ」という名の歌詞を書いた。
僕は 赤羽会館の
5階にある
図書館に行って
一所懸命 覚えた
「ナヌンタンシヌル サランハムニダ」
だけど 彼女は 僕が 覚えた
言葉の 国の となりの国の女(ひと)だった
そして 彼女は 祖国に 帰ると言った
この日本の この東京の この赤羽の どこの道を
歩いても 君はいない
ナヌンタンシヌル サランハムニダ
日本語で 言いたくなかった......
征一郎さんはこの歌詞のために曲も作った。ギターを弾きながら歌ってもらったが、感動的な歌のように思う。東京で、中国人の女の子に韓国語で愛情を表現しようとした日本人男性の征一郎さん。滑稽だがロマンティックだと思わないだろうか。
残念ながらこの国際色あるラブストーリーは、幕を開けなかった。女性はなにも知らないうちに母国に帰ったが、男性は非常に残念な気持ちで、ホームレスという道を歩み続けた。
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由