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イスラエルとパレスチナの対立は残忍さと悲劇を生み続けている(ガザ地区) AHMAD HASABALLAH/GETTY IMAGES

フランスの詩人・作家・民族学者の故ミシェル・レリスはこの壁画について次のように述べた。

「旧世界は自死を遂げた......われわれの大災厄を要約したこの作品は、言葉では言い表せない......モノクロの四角い構図には太古の悲劇が反響し、ピカソはわれわれに哀悼の手紙を送る。われわれが愛するものは全て死に絶えた」

『ゲルニカ』が描かれてから90年近くたった今、恐怖の底が抜けてしまったようなこの1年をどう説明すればいいのか?

私たちヨーロッパ人は何カ月もの間、米大統領選でどんな「評決」が下されるのか、固唾をのんで見守っていた。それによって自分たちの日常生活が左右されるかのように。

ドナルド・トランプの「まさかの勝利」は、それでなくても陰鬱な図柄をさらに暗く塗りつぶすのだろうか。地球に対する彼の政策は、石油とガスを「掘って、掘って、掘りまくれ」。孫の世代の運命などどうでもいいと言わんばかりだ。

過激派が対話の芽を摘む

これが世界の現実だ。私たちは今、政治的な逆風に打ちのめされ、ポピュリストのスローガンに耳をつんざかれ、民主主義国家が次々に右派の軍門に下り排外主義に走る姿を目の当たりにしている。

私たちは忘れてしまったのか。ピカソもまたフランスでは「危険な外国人」と見なされ、軍政下のスペインでは「内なる敵」扱いされていたことを。

国際協調の枠組みは崩れ去ろうとしている