「紙であることが望ましい印刷物」を後世に残していく

研文社が環境対策に取り組むようになったきっかけは、取引先から要請があったからだという。同社は当初、環境マネジメントに関する国際規格「ISO 14001」や、森林の適切な管理に貢献できる国際的な認証制度「FSCⓇ認証」といった、外部認証を取得することを目指していた。

「そこから環境問題に対してどう取り組むべきかを考え、活動の幅を広げていきました。現在は脱炭素経営を推進することによりCO2排出量を削減し、業界トップクラスになることを目指しています」と、川口氏。

近年は、中小企業にできる印刷文化の継承活動として、美術系のカタログや図録の発行にも力を入れている。ペーパーレス化が進む今日でも「紙である」ことが望ましい印刷物はある。環境配慮型プリントであれば、環境に悪影響を与えることなくそうした印刷物を残していくことができるのだ。

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同社が発行する美術系の写真集

「印刷物は将来的にも作品を振り返り、学術的な資料としても、また感性を刺激するアイテムとしても価値があると考えています。このように、未来へ『残したい』『残すべき』印刷物制作の一助となるべく活動を続けています」と、川口氏は語る。

印刷業は環境負荷が高いというイメージを持たれているからこそ、環境配慮型プリントや省エネ/創エネの取り組みによって「環境にやさしい印刷」を体現し、印刷業界の環境に対するイメージをアップデートしようとしている研文社。製造プロセスを見つめ直すことで環境負荷を低減しようとする同社の取り組みと姿勢は、印刷業界に限らずものづくりを柱とする中小企業にとって学び多き例として評価できるだろう。

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