本格運用前の能登半島地震で生産停止を回避できた

そのわずか12カ月後、2024年4月には、ES-Resi.をさらに発展させた「EW-Resi.(EWレジ)」を全社で稼働したパナソニックEW社。

富士通のビッグデータ解析プラットフォームをベースに、最新のAI技術を採用したSCMシステムだ。生産、販売、在庫、部品調達など20の現行システムの業務統合に加え、20万品番を超える在庫部品の紐づけや可視化を行う。これにより部品の調達計画など、グローバルレベルでの全体最適化ができるようになった。

有事対応においては、地震などで被災したサプライヤーの被災情報や部品の手配状況、影響を受けそうな部品や代替部品の在庫状況などを、即座にリストアップできるよう機能を大幅にアップデートしている。災害発生時の対応アクションは、平均1日で完了できるようになった。

パナソニック
従来はバケツリレーのような情報伝達を行っていた有事対応は、2023年の「ES-Resi.」、2024年の「EW-Resi.」へと進化していった 出典:パナソニックEW社

4月に全社導入されたEW-Resi.が早速その成果を発揮したのが、本格運用前に発生した1月の能登半島地震時の対応だった。

「震度5以上を計測した被災地の情報を抽出し、当該地域のサプライヤーに関わる製品や部品の状況等を可視化すると同時に、供給に影響が出そうな部品や代替部品の供給が可能な他拠点を特定して対応を行いました。EW-Resi.では、そこまでのアクションを即日に完了することができ、結果として生産停止を回避することができたのです」(森下氏)

国内外18拠点の連携を終え、2025年3月までには海外を含むすべての拠点を連携する予定だという。

「海外拠点では一部、モニタリング等のレベルを国内拠点と少し変えた運用を行います。SCM情報のグローバルでの共有をこのレベルで実現しているメーカーは、日本では他にないと思います」と、森下氏は胸を張る。

グローバルに事業展開するメーカーにとって、もはや欠かせないサプライチェーンのレジリエンス強化。パナソニックEW社のような先進的な取り組みが増えていけば、経済・社会の基盤がより強固なものになるだろう。

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