<生活クラブは、50年以上にわたり山形県庄内地域で「ローカルSDGs」を推進してきた。食の安全の追求からエネルギーの自給、「参加する暮らし」の実現まで、幅広い活動により、持続可能な地域社会の構築を目指す>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇
SDGsという枠組みが生まれるよりもずっと昔から、50年以上にわたって地域に根差した生産者との協力体制の構築を進め、安心できる食の国内生産を持続可能なものにする取り組みを行ってきた組織が日本にある。1965年に発足した「生活クラブ」だ。

生活クラブは、北海道から兵庫県まで約42万人の組合員を抱える生活協同組合だ。遺伝子組み換え品は取り扱わないなど、独自の基準で食の安心・安全を追求してきた。

その活動は、食料品の開発・供給だけにとどまらず、「豊かな地域づくり」にまで発展している。山形県北西部に位置する庄内地域でのプロジェクトも、そのひとつだ。

食の安全のその先へ。地域づくりを展開する生活クラブ

newsweekjp20241016031642-2153c402d78506a09ffb4ae993607e097e326ca5.jpg
飼料用米圃場 主食用米と区画を分け栽培している

生活クラブが山形県遊佐町農協と連携し、米の生産を始めたのが1972年のこと。その後も、豚を1頭まるごと買い上げて、組合員同士で工夫しながら無駄を出さない消費に取り組んだり、「輸入飼料ではなく米を食べさせてはどうか」という交流会での提案をもとにブランド豚「米育ち豚」の展開を始めたりと、地域に結びついた活動を行ってきた。

2012年に入ると、生活クラブは遊佐町・JA庄内みどりと「地域農業と日本の食糧を守り、持続可能な社会と地域を発展させる共同宣言」を締結し、地域循環共生圏つまり今で言う「ローカルSDGs」の推進を加速させてきた。

さらに2019年には、工場跡地を利用して、約7万枚のソーラーパネルによる「庄内・遊佐太陽光発電所」を設立。ここで発電した電気は庄内で利用され、余剰電力も生活クラブの組合員が共同購入し、収益は庄内の地域作りや環境保全に活用される仕組みだ。

今年も「丸餅文化圏(※)」としての庄内を継承するための餅加工場の整備や、地域の居場所づくり等、9つの事業と活動に約1900万円の助成を予定している。

※東日本では角餅が一般的だが、庄内地域は丸餅が食される。江戸時代の北前船交易の名残だと言われている。

2023年オープンの移住交流施設は「満室」に