<ソフトウェアエンジニア、起業家、SF作家、そして政治家。異色の経歴・肩書きを持つ安野氏に、転機となった大きな決断や現時点での人生のゴール、政治以外の活動の今後について聞いた。また、AIの専門家としてシンギュラリティ到来時期をどう考えているのか、個人としてどのように備えるべきかについても語ってもらった>

7月の参議院議員選挙で「チームみらい」党首として比例代表で当選した安野たかひろ(貴博)氏。30代のフレッシュさとソフトウェアエンジニア・起業家という経歴によって「日本にもオードリー・タン*氏のような人物が現れた」と注目を集めています。

*オードリー・タン(唐鳳)氏:台湾の初代デジタル担当大臣、プログラマー。台湾の行政参加プラットフォーム「Join」を改革。30代で入閣し、2020年に独自のマスク在庫管理システムを構築し、世界に先駆けて新型コロナウイルスの抑え込みに成功したことでも知られる

「なぜフィクサー的な立場ではなく自ら国会議員を目指したのか」「オードリー・タン氏と自分との比較」「チームみらいの今後の展望」などを掘り下げた前編に続き、後編では安野さんに「シンギュラリティ*到来を間近控える今、我々はどのように備えるべきか」「AI時代に必要な個人の資質」などを聞きました。また、安野さんの「はじめる力」「転機となった3つの決断」から、人物像にも迫りました。

*シンギュラリティ:もともとは「技術的特異点」の意味。現在は「AI(人工知能)が自己改善を繰り返して人間の知能を超える転換点」を指す場合が多い

■前編記事:学生時代から政治に興味...安野貴博がいま政治の道を選んだ理由とその勝算 「やりたかったことにテクノロジーが追いついてきた」


【今回のテーマ】

参院選前に安野氏が上梓した『はじめる力』(サンマーク出版)を端緒に、「安野氏の『はじめる力』の原点」「人生の転機となった3つの決断」から半生を振り返る。

さらに、AI問題に強い政治家として「シンギュラリティはいつ起こるのか? 事態にどう備えるべきか」「デジタル時代に生き残るために必要な資質」についても尋ねた。

また、安野氏の政治家以外の活動の今後や人生のゴール、演説上手で知られる妻・里奈さんの政界進出の可能性についても語ってもらった。

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◇ ◇ ◇

「はじめる力」の原点

 安野さんは、今年はこれまでにビジネス書を2冊出版されています。著書の内容を参考にして、安野さんの人となりについて迫っていきたいと思います。

『はじめる力』は、「こうやって行動するといい」と私たちにアドバイスをくださっている自己啓発書でもありながら、安野さんのビジョンや考え方が書いてあって、安野さんご自身やチームみらいを知る入門書でもありますね。

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今年発売された安野さんの著書。左から『はじめる力』(サンマーク出版)、『1%の革命』(文藝春秋)

安野 そうですね。あまり難しい政策の話とかではなくて「何かをゼロイチで始める時にどういうふうにするとよいのだろうか」ということを、私の経験から書かせていただいたような本になっています。

過去にスタートアップを何社かやったり、政党を作ったり、「はじめる」というのを色々やってきました。そのなかで実は「はじめるって才能だね」と言われることがよくあります。「性格だね」と言われることもありますが、実はそうではなく「はじめるための技術が大事なのではないか」と思っています。

 本の中では「『はじめる力』は後天的に身につけられる技術」だと書いていらっしゃいます。ちなみに安野さんご自身は、子供の頃から色々やってみるというか、何でも始めちゃうようなタイプでしたか?

安野 色々とやってみるタイプでしたね。

 それは何かきっかけがあったのですか? それとも生来のものだったのでしょうか。

安野 私の雑な仮説を申し上げると──これはまったく科学的でも何でもないのですし、私と妻の共通点でもあるのですが──小学生くらいの時にたくさん転校したんですよね。

転校を2年おきくらいに繰り返していると「不確実性への耐性」がつくのではないかなと思っていて。ある種、そこが良い方向に働いたのではないかと最近思いました。

大阪→千葉への転校でカルチャーショック
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