<アメリカや日本が懸念すべき中国の活動はスパイ気球だけではない。ロシアよりはるかに進んだ妨害行為の実態とは?>

スパイ気球の問題がいまも尾を引いている米中関係だが、2月19日夜にドイツ南部ミュンヘンで、アンソニー・ブリンケン米国務長官が中国で外交を統括する王毅政治局委員と1時間にわたって会談を行った。

ブリンケンは「中国との衝突は望んでおらず、新たな冷戦も目指していない」と伝えたが、中国の王毅は相変わらず、アメリカが気球を撃墜したことに対して「武力の乱用」が両国関係に損害を与えたと逆ギレした。

そもそもアメリカの領空に勝手に入った側の言い草ではないが、対話が再開したことでこの問題はひとまず解決に向かいそうだ。

そんな中国だが、実は今回の問題以外でも、アメリカが不快感や懸念を示すような活動を宇宙空間で行っていることが判明している。

■中国が空のかなたで行う工作により、アメリカが被った「永久的な損傷」

米宇宙軍のデビッド・トンプソン作戦担当副長官は、中国やロシアから、毎日のように宇宙でアメリカの衛星などに対する妨害行為が続けられていると指摘している。ただ今では、ロシアよりも中国の方が断然「進んでいる」と、トンプソンは言う。

その攻撃は、例えばレーザーを使ったものから、高周波や電磁波のジャマー(通信妨害装置)、またはサイバー攻撃などだ。「キラー衛星」と呼ばれる小型の操縦可能な衛星を送り込んで、ターゲットに近づいて衛星にダメージを与えたり、無効化したり、破壊することもあるという。

NASAに5000件以上のサイバー攻撃

こうした攻撃は機密情報ということもありトンプソンは詳しくは語らなかったが、地上でも、衛星のコントロール施設などへのサイバー攻撃が確認されている。例えば、2008年から2011年を見ても、NASAは5000件以上のサイバー攻撃を受けていたことが判明しており、そのうち1件では、完全にコントロールを奪われている。

また、中国系ハッカーがNASAの衛星を乗っ取るようなケースが少なくとも3件起きたと報告されている。2008年10月にはNASAの衛星のコントロールが9分間も中国のハッカーに乗っ取られている。

気球の問題も、宇宙での妨害活動も、中国は決して自分たちの非を認めることはないし、謝罪もしないだろう。それは新型コロナウィルスの発生に関しても同じだ。

そしてそれはアメリカに対してだけでなく、日本に対しても変わらない。2049年までに世界の覇権を取ろうとしている中国とはそういう国であることを、隣国として日本は肝に銘じておく必要がある。

中国の宇宙での妨害活動については、「スパイチャンネル~山田敏弘」で解説しているので、ぜひそちらをご覧いただきたい。

中国の工作でアメリカが被った「永久的な損傷」