色あせる菅政権の「既得権益の打破」という旗

山田内閣広報官を除く、他の接待に参加していた総務官僚に対する処分が「甘い」という批判も依然として鳴り止んでいない。官僚側は「3カ月の減給20%」が最も重い処分だ。武田良太総務相が閣僚給料3カ月分全額を自主返納するのと比べても、今回の処分は「甘い」という印象を与えるだろう。

役所の内向き論理としては、懲戒処分の基準に沿って前例踏襲せざるを得ないという側面もあろう。しかし、免職や停職でもなく、減給処分で済ませたことで国民の納得が得られるか。内閣広報官の辞職や東北新社側の退任・異動処分との「バランス」が取れていると言えるかも注目されることになろう。

官僚にとって所管する業界の動向把握等は確かに重要だ。しかし、同時に、利害関係者に絡め取られないようにする慎重さが求められる。今回の総務官僚はいかなる心境で接待に望んだのか。「危ない橋」を渡らせたものは何なのか。

自らの油断と慢心を反省しているとしても自業自得であり、総務行政の公正に対する国民の不信を招いた結果は重い。今回処分された旧郵政省出身の情報流通畑官僚に対する総務省内の視線も厳しいと聞く。

コロナワクチンの供給開始や緊急事態宣言の一部解除は、基本的に政権支持率を押し上げる効果があるはずだ。支持率が横ばいにとどまるとしたら、総務省接待事件の影響が大きいに違いない。政権の足を引っ張るという意味で、菅首相の背に突き刺さった「矢」のインパクトは大きい。

「縁故主義」の批判が燃えさかると、菅政権の「既得権益の打破」という旗が色褪せることにもなる。今回の総務省接待事件をどう収めるか。綱紀粛正を徹底できるかが、菅政権の正念場となろう。

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