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「MAZDA CO-PILOT」搭載車両に試乗する筆者 写真提供:マツダ

普及期になると日本の自動車メーカー間で連携し、社会貢献していく共通のガイドラインを各社は持っている。それにもかかわらず、ドライバー異常を検知する技術を他社が出さないのはなぜか。

それは、自動車メーカーごとに自動運転技術に対する考え方が異なるからだ。メディアが注目し、多くの自動車メーカーが現在挑戦している技術は、ドライバーはまったく運転せず、自動車がドライバーに代わって運転するというもの。

マツダはあくまでドライバーが自らの意思で自動車を運転し、体調・操作をモニタリングしながらその運転を支えるパートナーとして安全技術を使っていこうと考えている。

筆者は安全技術や自動運転について取材を続けているが、周知の通り、完全にドライバーの代わりをするような自動車を誰もが手にする時代は随分先になると見ている。今現実的に必要とされる安全技術は、高齢ドライバーが増える中で、彼らが自らの意思で自動車を運転する期間(運転寿命)を延伸させ、移動と暮らしの自由を支える技術だと考える。

マツダのドライバーの異常や予兆を検知する技術は、病気や衰えによる姿勢の崩れ、視線・頭部の挙動、ハンドル・ペダル操作量などの運転行動から分析する技術だ。そのため認知症の予兆、バスやトラックドライバー間で問題となっている睡眠時無呼吸症候群の予兆なども拾い出すことができる。

運転スキルの確認、家族による見守りが可能に

高齢ドライバーのいる家族からは「父母の運転は大丈夫だろうか」「そろそろ運転をやめてほしい」、また本人から「いつまで運転できるか心配だ」との声を多く聞く。日本の仕組みの中には、免許更新時に高齢者講習などがあるものの、いつまで運転していいのか客観的にスキルを測定して知ったり、見直したりする機会が一般的にない。本人や家族らによる主観的な判断により、運転免許証を返納している。

日々の運転行動をモニタリングし、スマートフォンなど見やすいインターフェースで本人や家族が確認できるようになれば、運転スキルの見直しや家族による見守りも可能となる。そうなれば、運転しながら自分の生活を楽しむ時間が少しだけ長くできるかもしれない。2025年以降にはこうしたことがMAZDA CO-PILOTで実現できるという。

さらには、日々の運転行動のデータを提出して運転適性を証明するなど免許更新の仕組みを変える可能性もある。

このように新しく日本で生まれたドライバー異常や予兆を検知する技術は、大きな社会問題となっている高齢者の事故や免許返納問題へ貢献する技術として非常に興味深い。できるだけ早くマツダが普及させ、他社も協調しながら追随し、安全でできるだけ長く自由な移動を楽しめる社会を実現させてほしいと思う。

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