欧米ではそもそも、科学者の自発的な学問芸術の団体が先に存在し、国王や政府から公的認証を受けたり、税金投入による支援が拡大してきた歴史がある。なので、資金援助を受けながらもそもそも当初から民間団体として独立性を持っている。但し、独立機関として、行政府、立法府と距離をおいているのではなく、議会が自ら科学技術情報について審議する常設の委員会を整備している等、科学と政治の対話を深める積極的な場がある

日本ほど政治家と科学者が離れている国はない

歴史ある民間団体としての独立性を保ちつつ、行政・立法の要請にも積極的に答え、国もその研究や成果に対して積極的に財政援助を惜しまない。


"「民主主義国家では科学技術と社会の関係にかかわる知見を国会議員が、個別の専門家だけからではなく、中立的な組織と交流しつつ入手するシステムが成立し、得られた選択肢を政策立案過程で活用している。" - 日本工学アカデミー「政治家と研究者を混ぜると、何が起こるか?」ワークショップ

欧米では、今回のコロナ禍に立ち向かうべく各国アカデミーが政府と連携して様々な活動を行ったと聞く。

一方学術会議は、3月に簡単な紙2枚の幹事会声明文を出したのみだ。


"日本学術会議は、学術の立場からその社会的使命を自覚し、世界的視野で学術的連帯をとりつつ、様々な立場の方々と協力して感染症対策に取り組んでまいります。" 令和2年3月6日 日本学術会議幹事会声明一部抜粋

II. 時間軸(順序)による検証

日本学術会議の特殊性と政府との関係に問題はあるとしても、依然として首相が日本学術会議による推薦名簿の内容をそのまま任命するのは、長年守られてきた慣例であり、法律の定めるところだ。

国会答弁で時の中曽根総理が明言していたことでもある。

学術会議「政府は形式的任命」 中曽根氏答弁の裏であったせめぎ合い

この慣例を覆すためには、しかるべき手順を踏んだ法改正が必要だし、そうでなくても最低限の説明責任を果たすことが求められることは言うまでもない。

何故、総理はこのような、炎上必須の任命拒否に踏み切ったのかだ。

また、この意思決定を実質的に行ったのは、安倍前総理なのか、菅総理なのか、だ。

菅首相は就任早々「地雷」を踏んでしまった〜田原総一朗インタビュー

時間軸で確認すると、

官邸は2014年の学術会議の時点で、選考過程の説明を杉田和博官房副長官が求めている。

2015年の安保法制での憲法学者の違憲発言が相次いだ後の、2016年の補充人事では官邸が難色を示し、結果欠員3名が出ている。

官邸、学術会議の14年選考にも関心 杉田氏が説明要求

第2次安倍政権発足当初から、学術会議の特別公務員の任命には関心を持っていたことが時間軸で整理すると見えてくる。

そういう意味では、安倍総理時代に、安保法制と関連法案に反対した研究者のリストは、少なくとも杉田副長官にはあったと思われる。

答弁能力の低さを露呈