よくiPhone保有者に出会うと、「iPhoneの何が便利ですか。保有するとどのように有利なのですか」と聞くことにしている。典型的回答は、「Apple社のノートブック等と連動したり、androidと比して操作・機能性が良く、旅行先で音楽を聴いたりする時にはやはり優位である」というものである。しかし私は基本的に旅行先では落語しか聞かず、しかも未だにそのほとんどをCDで再生しているのでiPhoneの利便性というのが今ひとつわからない。音楽はCDで聴くものという固定観念が消えないのだ。
「連動」というのも意味が分からない。所謂Bluetoothをずっと「青い歯」だと思っていたほど、その手の最新ネットワーク技術に無知な私は、iPhoneに連携して様々な機能を使って様々なサービスと連携できる、などと幾ら言われても、知識が「Gコード」の時代で止まっているので完全に意味をなさない。書籍はマンガ以外は基本的に紙媒体で買い求め、いつでも参照できるように車に積んで移動する。こんな人間が、仮にiPhoneを持っていたとしてもクラブハウスを快適に使いこなせるとは到底思えない。
かつてデジタルデバイド(情報格差)という言葉が話題になった。これは世代間格差と同義で、デジタルに強い若年層と、デジタル時代に取り残された高齢者間の情報格差を主に問題としたものである。国民皆ネット時代になりこの言葉は遠のいたが、現在ではむしろ世代間ではなく水平間格差、つまり同世代における様々なデジタル媒体の普及格差が問題となっているのではないか。
コロナ禍による大不況で格差拡大がますます進むと予想されるが、例えば上場企業の正社員として雇用が保証されている中産階級の30代Aと、非正規雇用で常に雇用の不安にさらされる低所得の30代Bとでは、当然最新のデジタル機器の購買力は異なる。今後は、こういった水平間格差がますます可視化されよう。
一方で、私のように、所得に関係なく単純に「時代の先端についていけない」或いは「興味が無い」という化石化した変人も残置されるだろう。よく「若者はデジタルに強い」みたいに言われるのは嘘だ。単に現代の青年層は物心ついた時からネットがありスマホがあり、これへの接触時間が長いだけで、こういったデジタルツールへのリテラシーが高いことを意味するわけではない。その証拠に、一部の迷惑系ユーチューバーを筆頭として、様々なネットでの愉快犯的事件が若年層から出ている。