90歳になると家にいることが増え、ガウンを羽織りベッドでおいしい辛口シャンパンを一杯頂く。90代になり「年を取る感覚」をやっとリアルに味わいつつ、君は地元に愛されて過ごす。

この年でパソコンを使えるのがもはや常識なのだから、世界は変わった。ローカルから発信し続ける音楽は世界中へ届く。

人生は100年。100歳になった君はなおも食欲旺盛で、一杯のシャンパンも続けている。僕は100歳の君に会いに行き、抱き締めてこう伝える。「最高の人生をおめでとう」と。

節くれだった指としわくちゃの顔で不思議そうにしている君は、さすがにもう20歳の君ではない。しかし「鼈甲(べっこう)のめがね」だけはあの頃のままの君なのだ。

<2020年11月17日号掲載>