今年の地下鉄。メキシコ人の弾き語りが車内でウインターソングを歌いだす。小さな体からは想像もつかないほどのハリのあるいい声。20ドル札を手渡すと、彼が僕だけのために特別に歌い始める。「ジングルベル」「ホワイトクリスマス」「ママがサンタにキスをした」──。

リズムに合わせて僕もハミングすると、途中の駅で乗ってきたお客さんが僕たちふたりをペアの道化師だと勘違いして拍手をくれ、中にはお札を差し出す人まで出てきた。

僕と弾き語りのおじさんはにわかペアになって、最後は一緒にお辞儀しハイタッチ。そのあと自分の駅で降りた僕を彼が追い掛けてきた。

ハッピーホリデー! 彼はそう言うと僕に、さっき彼に渡したのと同額の20ドル札を握らせてウインクした。名前も知らない彼に手を振り家路を急ぐ。今年もあのテントで、枝ぶりの良い大きな生木を注文しよう。

また3兄弟がやって来れば、わが家のリビングにはしばし大音量のサルサが流れるだろう。今年もみんなに心穏やかで笑顔の年末年始が訪れますように。ハッピーホリデー!

<2019年12月24日号掲載>

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