<アラブの若者はアメリカと中国をどう見ている? 最新の世論調査を基に読み解く>

アメリカの時代は終わった、と言われるようになって久しい。圧倒的な超大国として世界に君臨する「一極支配」の時代は終わったという意味ならば、このナラティブは妥当だ。しかし、アメリカに代わり覇権国家と呼ばれるにふさわしい国があるかと問われれば、そこには議論の余地がある。

中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は3月、サウジアラビアのムハンマド皇太子と電話で会談し、長年対立してきたサウジとイランの外交関係正常化を中国が仲介したことについて「大きな成果を上げ、国際社会から広く評価された」と自賛。「中東地域の平和と安定、発展にさらに貢献したい」と意欲を示した。

だがこれをもって、これまで中東に大きな影響力を及ぼしていたアメリカの時代は終わり、中国の時代がやって来たと評価するのは時期尚早だ。

アラブ首長国連邦(UAE)を拠点とするコンサルティング会社ASDAʼA BCWは6月、アラブ18カ国の53都市で18~24歳の若者3600人(男女比はほぼ半々)を対象に対面で実施した世論調査の結果を公表した。同種の調査としては最も規模が大きく、今回が15回目となる。

この中で、中東地域に最も大きな影響力を及ぼしている国はどこかという質問に対し、回答者の33%はアメリカと答え、UAE(11%)、サウジ(10%)、イスラエル(10%)がこれに続いた。中国だと答えた人は4%にとどまった。

今後5年間、アメリカと中国のどちらが自国にとってより重要で強力な友好国になると思うかという質問に対しても、アメリカと回答した人が62%に上り、中国と回答した35%を大幅に上回った。

アラブの若者は中国よりアメリカのほうが重要で強力な友好国だと思っているだけではなく、中国よりアメリカのほうをより好んでいるという結果も示されている。

「どの国に住みたいか?」という質問に対して、回答者の19%はアメリカを挙げたが、中国はランキングのトップ5に入らなかった。「自国に最も見習ってほしい国はどこか?」という質問に対しても、回答者の19%はアメリカを選んだが、中国はやはりトップ5に入っていない。

中国は今やほとんどの中東諸国にとって最大の貿易相手国であり、投資や融資、企業進出や中国語教育、中国留学など、その経済的影響力が激増しているのは間違いない。6月にはUAEの政府系投資ファンドが中国の電気自動車メーカー・蔚来汽車(NIO)への10億ドル規模の投資を発表するなど、中東諸国の中国への投資も進む。

世論調査が示した中国の「限界」
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