この閉会の英語名は「Prorogation」。議会の会期終了を意味する。通常、議会は最長5年間(1年の会期が5回)続く。議会の開・閉会の権限を持つエリザベス女王が施政方針演説を行うことで、幕があく。終了時には、女王が上・下院で演説を読み上げる。

以前から、議会が合意なき離脱を阻止しようとした場合、ジョンソン首相が女王に対し会期を終了させるよう働きかけるのではないか、と言われてきたが、まさか本当にそんなことが起きるとは驚くばかりである。

政府の言い訳は

閉会について、首相はどのように説明しているかというと、10月14日、新政権としての「大胆で、意欲的な政策」を女王の施政演説で発表したいという。施政演説が「延び延びになって来た」という首相の言い分には一理ある。2017年の総選挙後に始まった現在の会期は、すでに2年以上となっているからだ。

しかし、本当の理由は合意なき離脱の実現を止めようとする下院議員の動きを停止させるためと言ってよい。

違法ではないが

議会を1カ月近く閉会状態にしておくのは、今まさに離脱に向けての最終議論を行おうとしている中で、非常に理不尽な動きに見えるものの、新たな会期が始まる前に1週間ほど閉会状態になること自体は珍しくはない。

この時期に各政党の党大会が開催されるのが慣習で、もともと、9月の第2週から10月7日ぐらいまでは休会になる見込みだった。

シンクタンク「インスティテュート・フォー・ガバメント」によると、野党勢力ができることはまだあるという。1カ月にわたる「議論停止」を避けたいならば、来週中に内閣不信任案を提出し、ジョンソン政権を崩壊させることだ。

内閣不信任案はどうなるか

来週、もし内閣不信任案が提出された場合、可決の可能性はあるだろうか。

政権側は「可決されない」と見ている。理由は労働党のジェレミー・コービン党首への反発だ。

不信任案がもし可決されれば、総選挙が行われるまで野党労働党が中心となる暫定政権が成立する見込みだが、その場合、首相になるのはコービン氏だ。労働党内左派系のコービン氏の首相就任を支持する保守党議員は、ほとんどいないだろうとジョンソン政権側は踏んでいる。

もし不信任案が可決されても、その後の総選挙の時期を決めるのは政府になる。

離脱が実現してからの総選挙(11月1日以降)になれば、ジョンソン氏率いる保守党が議席を大幅に増やすのは確実だ。

「どっちに転んでも、勝つ」、というシナリオを描いているのである。

閉会反対に約100万の署名