アサンジが逮捕された日、米司法省は連邦大陪審が昨年3月、アサンジ容疑者を連邦地裁(バージニア州)に起訴していたことを明らかにした。機密文書を入手するため、マニング氏と共謀し、コンピューターネットワークに侵入した罪に問われている。

英政府は米政府の求めに応じて身柄を引き渡す可能性があり、もし有罪となれば、最長で禁錮5年の刑が下される。

イギリスでは最大野党労働党のジェレミー・コービン党首が「アサンジを米国に引き渡すな」と声を上げた。ガーディアン紙は社説で、スウェーデンの性的暴行事件の捜査は再開されるべきで、アサンジはこれに対処するべきだが、米国への身柄引き渡しには反対している。

「これはジャーナリズムではない」

一方、ワシントン・ポスト紙の社説は、アサンジを「報道の自由の英雄ではない」とする。それは彼が情報を「非倫理的な手法で」取得し、検証もせずに公開したために「本当のジャーナリストではない」からだ。また、同紙は身柄引き渡しを支持している。ロシア当局が「西側の民主主義妨害にどれほどの力を傾けていたのか」について、アサンジが解明する鍵を持っているからだという。

ジャーナリズムの面に注目すれば、記者が機密情報を受け取ることは珍しくなく、もし機密情報の記事化を違法としてしまえば、言論の自由と抵触してしまい、記者の仕事が不可能になる。米国には言論の自由を保障する憲法修正第1条があるため、機密情報の取得やこれの記事化ではなく、「共謀して、コンピューターネットワークに侵入した」ことが違法とされているようだ。

2017年秋以降の「#MeToo」運動の高まりもあって、スウェーデンでの性的暴行疑惑の捜査に協力するため、アサンジはスウェーデンに身柄を引き渡されるべきという声が英政界で強くなっている。この事件こそが、エクアドル大使館での籠城の直接の原因であった。

筆者自身、アサンジは性的暴行問題、ロシアとの関係という2つの点において、真実を明らかにする責務があると思う。

しかし、「報道の自由の戦士」か、あるいは「目立ちたがり屋」なだけなのか、そのどちらの場合でも、英政府が、米国の機密文書を公開するプラットフォームを提供し、米政府にとって都合が悪い情報を公開した人物であるアサンジの身柄を米国に引き渡してしまえば、言論・報道の自由を侵害する「危険な先例」(アサンジの弁護士ジェニファー・ロビンソン談)になり得る。アサンジ個人をどう評価するかという問題を超えて、広い意味の報道の自由、つまり私たちみんなの問題なのだ。この点を見逃してはならないだろう。

身柄移送に関する審理は、5月2日に行われる予定だ。