<弾劾されたユン前大統領の後任を選ぶ韓国大統領選が12日スタートした。6月3日まで22日間の選挙戦が行われるが、与党「国民の力」の候補者選びは文字通り二転三転した。結局、より保守色の強いキム・ムンス前雇用労働相に決まったが、保守内部の分裂でこのままでは大敗が避けられない>
6月3日に韓国で大統領選挙が行われる。イデオロギー的に保守派と進歩派に大きく両極化したこの国で、進歩派の最大野党「共に民主党」は前代表の李在明(イ・ジェミョン)を早々に候補者として選出した。同じく進歩派に属する中小政党との話し合いも進んでおり、進歩派の結集が進んでいる。
他方、保守派は混乱を極めている。与党「国民の力」は金文洙(キム・ムンス)前雇用労働相をいったん公認候補に選出した。しかしこれに先立ち、やはり保守派に分類される韓悳洙(ハン・ドクス)前首相が立候補を表明しており、与党指導部は候補者調整に乗り出した。世論調査では大統領代行として融和に努めた韓悳洙が優勢で、5月10日未明、与党は議員総会を開いて再度予備選挙を行い、韓悳洙を候補者に選出した。
とはいえ、話はここで終わらなかった。議員総会の結果は、即日、党員投票にかけられたが、この結果が僅差で否定されたからである。こうして金文洙が再度候補者に返り咲き、差し替えを図った党指導部は完全に面目を失った。保守派ではかつて「国民の力」党首を務めた経歴のある、野党「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)も候補者登録を終えた状態にあり、分裂選挙の様相を呈している。
保守・進歩両勢力が拮抗する韓国で、大統領選挙の帰趨を決める要因は各陣営がどの程度まで結集して特定の候補を支援できるか、そしてその結集を前提として中道・無党派の支持を獲得できるかになっている。その意味において、保守勢力の分裂は選挙戦で決定的な意味を持つ。候補者選出をめぐる混乱は中道・無党派層の支持を失わせるのみならず、保守派内部においても党への忌避感情をもたらすからだ。
与党指導部はなぜ、このように基本的な失態を演じたのか。その原因は大きく2つある。