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冷戦下の国際社会への対応を説いていた朴 BETTMANN/GETTY IMAGES

日本統治期に教育を受けた朴正煕は、明治期の日本の近代化を世界的な成功事例として持ち上げる一方、同じ時期の国際社会への対応に失敗した朝鮮王朝の腐敗と不効率を批判した。

その上で植民地に至るまでを、韓国人自身の失敗の歴史だと認識し、国民の意識改革の必要性を強調した。加えて、冷戦下の国際社会において北朝鮮をはじめとする東側の脅威に対抗するために、日米両国との協力の必要を国民に説いた。

こうして見ると、尹錫悦の歴史認識が朴正煕のそれに極めて近いことが分かる。とはいえ、同時に重要なのは、このような朴正煕の歴史認識が、当時の韓国において定着せず、現在にまで至っていることである。

それでは尹錫悦は自らの歴史認識をもって韓国国民を説得することができるのか。軍事クーデターをもって政権を獲得し、18年間、強大な権力を振るった朴正煕ですらできなかったことが、30%台半ばの支持率に低迷する大統領に可能なのか。

それともわれわれの目の前に広がる「新冷戦」的な状況が、「冷戦」時代の指導者にも不可能だったことを可能にさせるのか。その道のりは決して容易ではなさそうだ。

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