しかしながら、だとすれば、その読みは明らかに間違っている。なぜなら、いったん五輪を終えてしまえば日本側には文との首脳会談に応じる理由は何もなくなってしまうからだ。

加えて、菅政権は11月までの間に総選挙を控えており、韓国に対して批判的な世論が大勢を占めるなか、日本政府には韓国側との対話に応じる合理的理由は存在しない。つまり、文政権はそのまま首脳会談に応じていれば得られたはずのポイントを、自ら失ったことになる。

そして、今回の首脳会談拒否は、日本側の選択次第で韓国側に対して大きなマイナスポイントをもたらす可能性すらある。なぜならこれにより、今度は日本側が「対話を拒否しているのは韓国政府だ」と、国際社会にアピールすることが可能になるからである。こうして日本側は、日韓関係の悪化をもたらしているのは文政権だとして、自らが対話に応じないことを正当化することもできる。

2021年7月の韓国政府の選択が、日韓両国が再び攻守の立場を入れ替える分岐点だった――。われわれは何年か後、今回の出来事をそう振り返ることになるのかもしれない。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 進化する世界の鉄道
2026年10月20日号(10月14日発売)は「進化する世界の鉄道」特集。

鉄道黄金期を迎えたヨーロッパを旅する――コリン・ジョイス(ジャーナリスト)/豪快かつ特異なアメリカ大陸鉄道史/膨張する中国鉄路の野望/「夢の超特急」リニアの現実/韓国、アフリカ、インド……世界を駆ける鉄道新事情

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます