独立以来、常にイスラーム世界と戦ってきたイスラエルにとって、軍が国家のより所であるだけに、ハレビ参謀総長の懸念は杞憂ではないだろう。そのため、イスラエル最大の同盟国として「占領政策」を事実上黙認してきたアメリカでさえこの問題を無視できず、バイデン政権はしばしば「司法改革への懸念」を表明してきた。

支持基盤を優遇するあまり国家そのものの行方をも危うくしかねないことは、民主主義であるかどうかに関係なく、往々にして発生する。しかし、イスラエルのそれはパレスチナとの対立、ひいてはイスラーム世界との対立をも招きかねない。

     「イスラームの盟主」とも呼べるサウジアラビアは、ライバルであるイランを抑制するため一時イスラエルと接近したが、今年3月にイランと国交を回復し、急ピッチで関係改善を進めている。それは入れ違いに、イスラエルとの短い蜜月が終わったことを示唆する。東エルサレムのアル・アスク・モスクをめぐる問題で、サウジ政府はイスラエルの「挑発行為」を非難している。

こうした緊張をよそに、「戦争を先導するが自分は戦争に行かない」イスラエルの一部の有権者が声を大きくすることは、いわば中東情勢をより緊迫させかねない。イスラエルの司法改革は、いわば内輪の論理が全体を危うくする好例といえるだろう。

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