しかし、それが結果的にフランス社会の右傾化と警察などの「構造的差別」を助長し、有色人種が不利に扱われているという不満を増幅させたとすれば、マクロン政権自身が大暴動の導火線に火をつけたことになる。

それはちょうど2016年アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝利した後、「社会的認知を得た」と感じる極右の活動が、それ以前より活発化したことと同じ構図だ。

ヨーロッパ全体に飛び火するか

国連人種差別撤廃委員会は7月7日、フランスにおける「構造的、システム的な差別」を見直し、警察による行き過ぎた取り締まりを改めるべきと勧告した。これに対して、フランス政府は「差別」そのものを否定している。

しかし、ヨーロッパ各国では警戒が高まっている。今回の事態が飛び火する懸念があるからだ。

フランスの大暴動を受け、ヨーロッパ各国では「暴力が蔓延する原因は移民や外国人にある」といった主張が極右以外にも広がっている。その結果、例えば隣国ドイツではフランスの暴動が発生した6月末の調査で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持者が増えていることが明らかになった。

さらにフランスでは、6月27日にアラブ系少年を銃殺して起訴されることが確実な警官のため、クラウドファンディングで募金が行われた。これはルペンのアドバイザーだったジーン・メッシハが立ち上げたものだが、1週間程度で160万ユーロが集まった。

そこにはフランス国外からの支援者も多くいたとみられ、差別反対デモや暴動への拒絶反応の拡散がうかがえる。

マクロン政権の責任転嫁はこうした風潮をさらに強めかねない。フランスはこれまでEUの要だったが、今やヨーロッパの不安定化要因ともいえるのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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