<17日にスペインで行われた親善試合のギニア戦でブラジル代表選手が全員、お馴染みの黄色ではなく黒いユニフォームでピッチに立った>


・レアル・マドリードFWヴィニシウス・ジュニオールに対するバレンシアの侮蔑行為は国際問題に発展した。

・欧州サッカーでは人種差別が問題視されながらも、長年ほとんど放置されてきた。

・伝統の黄色ではなく黒いユニフォームを着用したブラジル代表は抗議の意思を世界に示したが、これは差別問題に熱心でないとみられる先進国に抗議するグローバルサウスの風潮を象徴する。

ブラジル代表が伝統の黄色ではなく黒いユニフォームで試合をしたことは、広い意味ではグローバルサウスからの抗議ともいえる。

黄色ではなく黒

サッカーのブラジル代表は6月17日、スペインでギニアと親善試合を行った。試合そのものはブラジル代表が4−1で勝利したが、勝敗以上にこのゲームで注目を集めたのがユニフォームだった。

ブラジル代表が全員、黒いユニフォームでピッチに立ったからだ。

トレードマークともいえる黄色のユニフォームの封印は、とりあえず今回限りとみられるが、それでもインパクトは大きかった。黒いユニフォームがスペインあるいは欧州の人種差別に抗議するものだったからだ。

その発端はブラジル出身の黒人で、スペインリーグのレアル・マドリードに所属するヴィニシウス・ジュニオール選手に対する侮辱行為にあった。

バレンシアの本拠地マエスタラ・スタジアムで5月21日に行われたレアル・マドリード対バレンシア戦で、スタジアムの大半を占めたバレンシアサポーターが大集団で「モンキーチャント」を行い、ヴィニシウス・ジュニオールがボールをもつと'mono'(スペイン語のサル)の大合唱が起こった。

モンキーチャントはサルの鳴き声や仕草をまねるもので、主にアフリカ系に対する差別的な意思表示だ。アフリカ系をサルに準えるのは19世紀の植民地時代、ダーウィンの進化論を曲解したヨーロッパ人の間で普及した考え方だが、科学的根拠も何もないただの尊厳の否定である。

そのうえ、これに激昂して群衆に暴言を吐いたなどの理由で、レフェリーはむしろヴィニシウス・ジュニオールを退場させた。

スタジアムぐるみ「ヘイトクライム」

後日、ヴィニシウス・ジュニオールはモンキーチャントが「ヘイトクライム」に当たるとして、スペイン警察に被疑者不明のまま告発した。スペインを含む多くのヨーロッパ諸国では、人種、民族、宗教、性別などを理由とする差別的言動だけでもヘイトクライムとして法的に処罰され得る。

レッドカードを出したレフェリーは解雇
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