しかし、他の用途と比べても炭酸飲料の場合、代替材料を使うことが難しいため、アラビアゴムの重要性は高いといわれる。

そのため、これまでもアラビアゴムはスーダンにとってだけでなく海外にとっても重要物資であり、国際的な焦点になってきた。

例えば、2019年までこの国を支配したバシール前大統領はアメリカと対立し、スーダンは「テロ支援国家」の指定を受けて経済制裁の対象になった。しかし、その時代もアラビアゴム取引が例外的に認められた。飲料メーカーなどのロビー活動があったからだ。

また、バシール政権が崩壊した後、西側との関係改善が進むなか、EUはスーダンのアラビアゴム産業支援のため、2021年までに1000万ユーロ(約15億円)を提供した。その多くはフランスからのものだった。フランスはアラビアゴムの大消費国であると同時に、加工済みアラビアゴムの大輸出国でもある。

「コーラ値上がり」の現実味は

だとすると、今回のスーダン内乱で多くの企業が神経を尖らせるのも無理はない。

ペプシやコカコーラなど大手メーカーはアラビアゴムを数カ月分ストックしているとみられる。そのため、すぐに枯渇するわけでないとしても、戦闘が長期化すれば話は別だ。

今回の内乱は首都ハルツームを主な舞台としているため、通信障害が発生するなど、社会・経済活動全体に悪影響が及んでいることも、この懸念に拍車をかけている。

だたし、コーラなどの商品が全く影響を受けないとは思えないが、大幅な値上げが必要なレベルまでアラビアゴム供給量が減少するかには、疑問の余地もある。

その最大の理由は、内乱発生以前からスーダンではアラビアゴムの密輸が横行していたことだ。

内乱が勃発する直前の3月下旬、スーダンの民主化勢力は同国産アラビアゴムの40%以上が近隣のエジプトやチャドに密輸されていると指摘し、軍事政権に改善を要求した。それによると、密輸されているのはアラビアゴムだけでなく、綿花や油料種子など主な農作物の多くが含まれている。

戦時でも続く取引とは

スーダンに限らず、アフリカでは政治的有力者がかかわる企業による脱法行為は珍しくない。それを取り締まるべき公的機関まで汚職に塗れていれば、なおさらだ。

例えばコンゴ民主共和国では、リチウムイオン電池の生産に欠かせないコバルトが産出されているが、20年以上続く内戦のなか、軍の高官まで密輸と児童労働に深く食い込んでいる。海外企業はそれを調達しているのだ。

不透明な関係が加速
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