エリツィンが96年大統領選で再選されたのは、オリガルヒの大規模介入のおかげだ。後継者のプーチン大統領は権力が肥大した彼らの懐柔に動き、2000年の大統領就任式の数カ月前に大物オリガルヒを招集。政府に忠実である限り、90年代の民営化で稼いだ利得に目をつぶると約束した。

ウクライナ侵攻の当日、プーチンはオリガルヒを再び招集し、今や政権への忠誠心の対価はさらに高くなっているとクギを刺した。異論は厳禁だとのシグナルだったことは明らかだ。つまり、一連の事件はオメルタ(沈黙の掟)に基づく裏切り行為への制裁だと、私たちは思っている──。

とはいえ業界内での「抗争」が原因である可能性も高いと、評論家は明言した。私は前出の友人にこの説を伝え、考えを聞いた。いつもなら自論にこだわる友人の答えは「分からない」。推測でいいから教えてくれとさらに頼むと、彼はこう返信した。「この国で起きていることはもう何も私には分からない。全然分からない」

ニューズウィーク日本版 がん個別化医療が救う命
2026年9月15日号(9月8日発売)は「がん個別化医療が救う命」特集。

ゲノム医療から「自分に合う治療」を探す時代へ[PLUS]手記「ステージ4のがんをクスリで治す」(ジャーナリスト・金田信一郎)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます