バレットの承認は最高裁の民主的正統性のもろさの表れでもある。最高裁判事は保守派6人、リベラル派3人となるが、保守派6人のうち5人は大統領選の総得票数で負けた大統領に指名されている。財源も武器も持たない最高裁が権力を有するのは国民からの信頼があるからこそだが、今やそこで多数を占めるのは少数派によって指名・承認された判事なのだ。
バレットの承認は「バイデン大統領」誕生の後押しとなるかもしれない。若い女性層は妊娠中絶が禁止される可能性に、高齢者は公的医療制度の廃止に敏感だからだ。
バイデン政権が誕生したら、民意とのギャップを埋めるべく最高裁判事の定員拡大を試みるだろう。それは国民の分断を一段と深刻化させかねない選択肢だが。
<2020年10月22日号掲載>
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