彼らはノイズや曖昧な情報だらけの複雑な世界で、重要な真実を分かりやすくまとめた信頼性の高い情報を有権者に届けたいと考えている。だが、分断と信頼低下の二重苦にあえぐ今のアメリカでは、新聞はいいことをしたいという衝動を抑え、読者に最良の選択をしてもらうという最終目標に近づくための方法をよく考えるべきだ。最善の方法は複数の勢力のどちらかを支持することではない。冷静な観察者としてのメディアの評価をもっと高めることだ。

NYTの支持表明までのプロセスは、新聞による候補者推薦の悲惨な現状がよく表れている。意思決定プロセスの透明性を重視する彼らは、民主党候補者たちとのやりとりを動画や文書に記録して公開した。そのため、まるでNYTが民主党の「選挙マシン」の一部であるかのように見えた。

しかも選考プロセスの結果、人物も政治的立場もほとんど正反対の2人を同時に推薦する羽目になった。説明責任と透明性にこだわるあまり、彼らは混乱と分裂に陥った。

有権者に最良の選択をしてもらうために新聞が取れる最善の策は、選択から距離を置くことだ。

<本誌2020年2月4日号掲載>

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