専制中国に呼びかけるモンゴル的寛容
20世紀初頭に入り、博学の東洋学者たちはヴァチカン古文書館から例の返書を見つけて公開した。それが、「777年前の招待状」である。
チンギス・ハーンの子孫たちは今、ローマ教皇を歓迎する準備を着々と進めている。大統領と会見し、首相も参加する予定の諸宗教、諸宗派の指導者と信徒たちが参加する集会にも参加するとのスケジュールが発表されている。345万人の国民のうち、約一割がクリスチャンとも伝えられているモンゴル国において、カトリック信徒はわずか1500人。教皇のモンゴル国訪問の狙いは明らかに別のところにある、と識者たちは見ている。
教皇はその真のメッセージをモンゴル国の隣、中国に向けて発するだろう。南モンゴルこといわゆる「内モンゴル自治区」のオルドス高原に約1万人ものモンゴル人カトリック信徒が暮らしているが、彼らは苛烈な弾圧に喘いでいる。2020年に世界唯一のモンゴル人司教テグスビリク(馬仲牧)が逝去した後も、後任は任命できない状況下にある。大勢の中国人カトリック信徒も例外なく抑圧されているし、ユーラシアの外交言語だったモンゴル語による教育も、南モンゴルでは今年9月から廃止されることになった。
教皇はグユク・ハーンの招待を受けて訪問してきたのではなく、中国の専制主義下にある信徒たちに対し救いの手を差し伸べるつもりだろう。そして可能ならば、中国の指導者たちにも往昔のモンゴルの大ハーンたちのように、あらゆる宗教と言語に対し、寛容の政策を取るよう、夢を語るかもしれない。