マクロニズムの失敗
今回の総選挙では、マクロニズムの失敗も明らかになった。他の欧州諸国でも見られる、中道勢力の弱体化と「極右」(右派ポピュリスト勢力)の強大化が進んだからだ。
マクロン大統領は、「右でも左でもない」中道路線(マクロニズム)を志向してきた。それは実際には、「左の心」(社会主義者の価値観:社会的連帯、進歩主義、多文化主義など)と、「右の頭」(新自由主義者の経済政策)の両輪で、中道層を厚くすることを目指したもので、当初はそれが功を奏し、左右穏健派政党(社会党・共和党)の失墜をもたらした。
しかし、「左の心」については、移民問題や治安の悪化などで、十分に発揮できなかった一方、「右の頭」については、富裕税の廃止や年金改革などで、十分に発揮してしまった。このため「金持ち優遇のエリート」として庶民の強い反発を招き、そうした反発を我がものとしてマクロン批判を徹底的に展開した国民連合の増長をもたらしてしまったのだ。
それやこれや、マクロン大統領の危険な賭けは、自分自身の四面楚歌の状況を招いただけの失敗に終わったようだ。
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由