フィリポ派の離党

そうした路線を主導し、その結果として敗北の戦犯とされたのが、当時副党首を務めていたフロリアン・フィリポだ。フィリポは、マリーヌ・ルペンが進めてきた国民戦線の脱悪魔化や、EUやユーロからの離脱といった党の政策を理論面で支え、ルペン党首の右腕と称されてきた。国民戦線には珍しいENA(フランスの高級官僚を養成する国立行政学院)卒のエリートで、メディアにもたびたび登場し、弁舌さわやかに国民戦線の政策を喧伝した。

その手腕が、大統領選挙での敗北後はかえって仇となり、党内で孤立を深めた結果、昨年9月に離党し、自らの新党、「愛国者たち」(Les Patriotes)を立ち上げた。

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フロリアン・フィリポ REUTERS-Robert Pratta

主権重視からアイデンティティ重視へ

この分裂劇は、国民戦線の中で、主権重視・社会派とされる党内左派が切り捨てられたことを印象付けた。

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その結果、アイデンティティ重視・経済的自由主義派とされる党内右派の路線が再浮上。その象徴とされてきた、若手のホープ、マリオンマレシャル・ルペン(マリーヌ・ルペンの父で国民戦線の前党首、ジャンマリ・ルペンの孫で、マリーヌ・ルペンの姪)が、家庭生活に戻りたいとして、昨年5月に政界からの引退を表明して以降、いったん勢いを失いかけたが、フィリッポ派の離脱以降、徐々に盛り返してきた。

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マリオンマレシャル・ルペン REUTERS/Kevin Lamarque

そうした微妙な党内バランスの変化を窺いながら、マリーヌ・ルペン党首は、新しい党名のもと、他の右翼政党(デュポンテニャンの「立ち上がれフランス」や共和派の一部など)との連携も視野に入れて、党勢の回復・拡大に努めようとしている。

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