日本のサッカーマンガ『キャプテン翼』のアニメはアラブ世界では1980年代から放送されており、どこでも大人気であった。ただ、アラビア語版アニメでは「翼」はアラブ風に「キャプテン・マージド」と呼ばれている。このマージドは元サウジ代表マージド・アブダッラーの名から取ったともいわれている。
しかし、今アラブ世界を代表するプレーヤーといえば、エジプトのストライカー、ムハンマド・サラーフ(モハメド・サラー)であろう。
酒の会社のMOMは受け取れない、とエジプトGK
サラーフは所属するリバプールでUEFAチャンピオンズリーグ決勝をレアル・マドリードと戦った際、肩を負傷し、その影響で本調子にはほど遠い。初戦のウルグアイ戦は欠場、次のロシア戦ではPKを決めたが、チームとの一体感は感じられなかった。
代わりにウルグアイ戦では、マン・オブ・ザ・マッチ(MOM)が、敗者にもかかわらず、その果敢な守備を評価され、エジプトのGKムハンマド・シャンナーウィー(モハメド・エル・シェナウィ)に与えられることとなった。しかし、シャンナーウィーはそれを拒否した。MOM賞のスポンサーが、ビール大手バドワイザーだからというのが理由だそうだ。
イスラームが禁じている酒の会社がスポンサーの賞はハラールではない、という理屈なのだろう。ムスリムでサッカーを生業とするのはいろいろ苦労があるんだとあらためて教えられた感じがする。
ちなみに、サウジのファンの一部はウルグアイ戦後、スタジアムを掃除している。まあ、これはイスラームの問題というよりは、日本人サポーターをまねたのかもしれない。
そういえば、テロ組織イスラーム国ISも、イスラーム的に正しいサッカーというのを提唱していた。これは逆にいえば、現状のサッカーはイスラーム的に正しくないということでもあり、実際、ISのテロでサッカーのスタジアムが攻撃された、あるいはされそうになった事件がいくつもあったのである。
試合結果のみならず、W杯が終わるまで、目が離せそうにない。
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