共産主義後のルーマニアに失望する有権者

イタリア、ドイツなど他のEU加盟国に移住した人々は1回目投票で7割強がシミオン氏に投票した。「共産主義後のルーマニアで自分の道を見つけられずに国を去った人々が多い。つまり共産主義後のルーマニアに失望したと言えるだろう」とベルナッキア氏は言う。

同じくルーマニア人ジャーナリストのクラウディウ・ポップ氏は「極右の台頭は政治的無能、汚職の横行、大都市圏以外での劣悪な生活水準が原因だ。SNSのアルゴリズムによって形成されるエコーチェンバーがこうした極右支持を増幅させている」と分析する。

「シミオン氏は『ルーマニアでトランプ政権とつながりがあるのは自分だけ』と言い、MAGA(米国を再び偉大な国に)運動のスティーブン・バノン氏にも会っている。シミオン氏が米国の有力者やトランプ政権関係者に会うのに15億〜16億ドルを支払ったとされる疑惑もある」

「ルーマニアがEUとの協力を減らせばEUの経済力が削がれ、トランプ氏にとって有利になるとの考え方もあるのだろう」とポップ氏は語る。しかし司法の介入とトランプ氏に迎合するよりEUの道を進むしかないという決意が極右大統領の誕生をすんでのところで食い止めた。

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