中国に「ノー」と言っても無事だったオーストラリアから学ぶこと

2021年11月11日(木)17時49分
ジェフリー・ウィルソン(西オーストラリア大学パース米国アジアセンター研究部長)

中国は巨大で重要な経済パートナーかもしれないが、そうした国はほかに幾つもあるはずだ。世界各国は制裁があれば迅速に再調整を行って、影響を大幅に緩和させている。調整の過程には幾らかの痛みが伴うものの、実際の損失は多くの人の予想をはるかに下回るし、政治的な行動にとってさほど大きな妨げにもならない。

実際、オーストラリアの回復力に刺激を受けて、ほかの国々が声を上げ始めている可能性がある。5月にはリトアニアが、中国と東欧諸国の経済協力の枠組み「17+1」から離脱。さらにその後、台湾に代表機関(実質的な大使館)を設置することで台湾側と合意した。中国の反応は予想どおり。リトアニアと中国を結ぶ直行貨物列車の運行取りやめと、食品の輸入規制だった。

それでも、おそらくオーストラリアの例に触発されたリトアニア(人口280万人の小国)が態度を変える様子はない。リトアニアのギタナス・ナウセーダ大統領は、「中国側と話す用意はあるが、我々としては一連の決定について考え直すつもりはない」と述べた。同国は現在、この問題について欧州連合(EU)に連携強化と支持を呼びかけている。

オーストラリアは、中国に「ノー」と言えること、そして貿易制裁や強制的な経済のデカップリングを受けても繁栄できることを世界に示した。さらに多くの国がオーストラリアに追随し始める日も、そう遠くないかもしれない。

From Foreign Policy Magazine

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