ワクチンを打っても防げない「ブレイクスルー感染」が米で1万件

2021年5月27日(木)17時13分
アリストス・ジョージャウ

<既定回数のワクチン接種を完了した人が感染する「ブレイクスルー感染」は今後も発生が予想されるものの「全体のごく一部」と説明>

現在アメリカで入手可能な新型コロナウイルスワクチンは安全で、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化、死亡を防ぐ上できわめて効果的であることが証明されている。

しかし有効性が高いとはいえ、完璧な訳ではない。ワクチン接種を完了していても、ごく一部の人は新型コロナウイルスに感染する(発症する場合もあれば無症状の場合もある)。

末尾のチャートは、米疾病対策センター(CDC)が5月25日に発表した報告書のデータを基に、4月30日時点のアメリカのブレイクスルー感染の報告数を示している。

ここで言う「ブレイクスルー感染」とは、米食品医薬品局(FDA)が承認したワクチンの接種を完了してから14日以上が経過した後に、新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たケースのこと。

チャートの数字が示すとおり、ブレイクスルー感染はこれまでのところ、きわめて稀だ。CDCの調査は2021年1月1日から4月30日までの期間に行われ、この間にワクチン接種を完了した米国人は約1億100万人。このうち46の州と米領土で報告されたブレイクスルー感染は計1万262件だった。

発生率はきわめて低い

CDCのデータによれば、この1万262例のうち6446人(63%)が女性で、患者の平均年齢は58歳だった。また2725人(27%)は無症状で、995人(10%)は入院となり、160人(2%)が死亡した。

入院した995人については、その全員が新型コロナウイルス感染症によって入院した訳ではなかった。このうち289人は新型コロナウイルス感染症の症状がなかったか、あるいは別の理由で入院したものだ。

死亡した患者の平均年齢は82歳で、このうち28人は新型コロナ感染症の症状が一切なかったか、新型コロナ感染症とは関係のない理由で死亡した。

調査が行われた期間(1月1日~4月30日)は、米国内の多くの地域で感染拡大が続いていた時期だった。

「FDAが承認した複数のワクチンは高い有効性が認められているが、感染のさらなる抑制に十分なレベルの集団免疫が達成される前の段階では、ブレイクスルー感染の発生が予想される。しかし感染例全体に占める割合は小さい」とCDCは報告書で指摘し、こう続けた。「ブレイクスルー感染の発生数よりも、ワクチン接種を受けることで防げる感染や入院、死亡例の数の方がはるかに多い」

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