「台湾軍は装備不足、(中国と)箒で戦えというのか」と台湾軍元将校

2020年11月2日(月)15時49分
ジョン・フェン

<中台間の軍事的緊張がかつてないほど高まるなか、台湾軍の戦争準備は不十分でアメリカから購入した兵器も単なる金食い虫、警鐘を鳴らした>

台湾軍は中国と戦うには兵員が少なすぎるし装備も不十分だ、と引退した台湾軍の将校は最近のインタビューで主張した。「台湾軍の兵士は箒(ほうき)で戦えとでもいうのか?」と、この将校は訴えている。

シャオ・ティエン・リウ元中華民国陸軍少将が、台湾の戦闘準備に疑問を投げかけたのは、台湾の厳徳発(イェン・デファ)国防部長(国防相に相当)が、中国の武力による侵攻の際には約45万人の部隊を動員できると宣言した1週間後のことだった。

10月22日に開催された委員会で、厳国防部長は中国の人民解放軍が台湾海峡を渡って上陸しようとした場合、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は18万5000人の現役軍人を動員し、約26万人の予備軍を招集できると述べた。

だが国防省軍備局の調達責任者を務めていたシャオに言わせれば、それは「非常に困難な」作業になる。

中国語サイト中國評論通訊社(CRNA)に10月30日に掲載されたインタビューで、シャオはこれまでの経験から、予備軍は教育と訓練のために招集されても、応じるのは70%ぐらいだと語った。

「戦争のための動員令が出されても、軍は緊急に兵員を招集する手段を持ち合わせていない」と、シャオは述べた。「45万人の軍を編成するのは、とても難しい」

軍拡競争は「無意味」

もう一つ、兵器庫に保管された武器や装備の整理に台湾軍がほとんど注意を払ってこなかったことも障害になるだろう、とシャオは指摘した。たとえ軍が必要な規模の部隊を編成することができたとしても、兵士に十分な武器が支給できないかもしれない。

「十分な装備のないままに兵士たちを戦争に行かせるのか? 箒で戦えとでもいうのか?」と、CRNAのインタビューでシャオは語った。

シャオは台湾軍が「危機に対する意識」を高めるべきだと言い、将来の緊急事態に対応するために必要な「基本的な準備」の実施を強く求めた。

本誌は台湾国防省にコメントを求めたが、返答は得られなかった。

CRNAのインタビューで、国防省でアメリカの武器調達部門に関与していたシャオは、アメリカからの最近の武器購入を「底なしの金食い虫」と呼んだ。

2016年に初当選して以来、蔡政権はトランプ政権と9回の武器取引を行い、台湾としては記録的な予算を防衛用の軍備に費やしている。

シャオは、人民解放軍の莫大な軍事費を考えれば、中国政府との軍拡競争は「無意味」だと語った。「台湾がいくら金を使っても、この軍事的ギャップを埋めることは絶対に無理だ」

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ