CIA:中国はWHOに圧力をかけて世界中のマスクや防護服を買い漁った?

2020年5月14日(木)17時45分
ナビード・ジャマリ

WHOは1月30日にPHEIC宣言を行ったが、その際にテドロスは中国の初期対応を長々と擁護した。

「はっきり言おう。この宣言は中国に対する不信任投票ではない。その逆だ。WHOは集団感染を制御する中国の能力を引き続き信頼している」と、テドロスは語った。

これには欧米諸国から怒りの声が上がった。ドナルド・トランプ米大統領は、WHOの「中国中心主義」に激しくかみつき、4月14日に資金拠出を停止して調査を行うと宣言した。

「WHOの責任逃れは信じ難い」と、トランプは先週またもや怒りぶちまけた。「彼らは中国の(プロパガンダを奏でる)パイプオルガンだ。この件については早急に決断を下す」

中国の初期対応は世界中から批判されている。湖北省武漢で最初に集団感染が起きた時点で、異変に気づいて警告を発した医師らの口を封じたこと、中国外務省の報道官が、米軍がウイルスを持ち込んだと虚偽情報を流したこと。さらに、中国当局が発生初期の6日間、事実上の隠蔽工作を行なったため、武漢から大勢の市民が脱出し、結果的に世界中にウイルスがばらまかれたと、AP通信が伝えたことも、中国に対する不信感を募らせた。

そのため中国当局が発表する死者数や感染率などのデータは、欧米ではあまり信頼されていない。ただ、武漢の研究所からウイルスが漏出したというトランプの主張も証拠がないため、まともに取り上げられていない。

素早く緊急輸入に動く

中国外務省はCIAの報告に関する本誌の問い合わせに応じていない。だが5月11日の定例記者会見ではシュピーゲル誌の報道について質問が出て、外務省報道官が「1月21日には、中国の指導者とWHOのトップはそうした話を一切していない。電話でもしていない」と強い調子で否定した。

CIAも報告書に関する本誌の問い合わせに応じていない。

「国連と中国──WHOは中国から恩恵を受けていないが、忖度している」と題されたCIAの報告書とシュビーゲル誌の報道以前にも、米国土安全保障省の分析で、中国は1月に情報隠しを行い、その間に世界中から医療用品をかき集めたと指摘されている。これについては、最初にAP通信が報じた時点で本誌はワシントンの中国大使館にコメントを求めたが、「根拠なし」の一点張りだった。

中国の税関当局である海関総署によれば、1月24日から2月29日までに中国が輸入した感染防止の個人防護具は、20億枚超のマスクを含め25億点に上る。世界最多の人口を抱える中国は新型ウイルスの感染が拡大するなか、大量のマスクや防護服を確保すべく、外交ルートを通じて世界各国に働きかけ、緊急輸入の手筈を整えたのだ。

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