コロナ感染爆発のニューヨーク、「医療崩壊は不可避」と州知事

2020年3月27日(金)16時15分
ジェニ・フィンク

だが病床数を増やすだけでは十分ではなく、患者の世話をするスタッフも必要だ。クオモは、退職した医師や看護師に協力を求め、今後大勢の患者が病院に殺到した場合や医療関係者が病気になった場合、あるいは医療関係者の負担軽減のための予備人員を募集。26日の時点で応募者は5万2000人に上った。

マスクや手袋といった保護具の不足は解消されつつあり、ニューヨーク州として当面必要な分は確保できているとクオモは語った。だが人工呼吸器は不足している。当局は新たに人工呼吸器を調達するのに加えて、緊急対策として1台の人工呼吸器を2人の患者で使うという荒業をテストで確かめたほか、動物病院で使う人工呼吸器や、喘息用の吸入器から改造した人工呼吸器まで、ありとあらゆる手段を尽くして数を増やしている。

さらに問題なのは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の患者の場合、人工呼吸器を必要とする期間が長いことだ。そのほかの疾患の患者が人工呼吸器を使用する期間が平均3~4日なのに対して、COVID-19の患者は最大21日間にわたって人工呼吸器が必要になる。中には30日もの長い間、人工呼吸器につながれている患者もいる。その間、人工呼吸器は「回転」しないため、ますます数が必要になる。それでもその不足ぶりは「桁違い」で、残された時間は1~2週間だとクオモは言う。

感染のピークはこれから

しかも、かき集めた人工呼吸器は必ずしも命を救わない。クオモは26日、厳しい現実を明かした。「人工呼吸器につながれている期間が長くなればなるほど、呼吸器を外せなくなる可能性が高くなる......そうした人々は、必然的に亡くなっていく」

クオモは25日の会見で、ニューヨークの感染のピークはこれからだと警告。翌26日の会見では、今は歴史の中における「きわめて重要な瞬間だ」と述べ、この厳しい状況は人々の最悪な一面を露呈させることになる可能性もあるものの、国内外からニューヨークに多くの「感動的な」支援が寄せられていると語った。

「そうした支援は私に強さや活力をもたらしてくれるが、現状を取り繕うようなことはしたくない。現状は厳しい。だが厳しい時間が人を強くする」とクオモは言った。「今はまさにその時期なのだ」

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